情報リテラシーを身につけて、正しく健康と向き合おう!

情報リテラシーを身につけて、正しく健康と向き合おう!

人生100年時代の到来。。。

いかに健康寿命を延ばすかという関心の高まりもあって、健康にまつわる情報が溢れかえるようになってきました。

あなたは溢れかえる情報に振り回されていませんか?

「これまでの健康常識は間違っていた!?」

本屋で健康関連の書棚を見ると、このような謳い文句を目にすることも多いのではないでしょうか?

結局のところ、何が正しいのだろうか、何を信じて生活すればいいのだろうか。

このような戸惑いを持っている方も多いものと思います。

実はその背景には健康ビジネスが一大産業になっているという事情があるのです。

そこで今回は、健康をビジネスの観点からみることで、より正しい情報を得られるようにお話ししてみたいと思います。

ダイエットビジネスの不都合な真実

糖質制限ダイエット、食べる順番ダイエット、キャベツ食べるだけダイエット、ファスティング・・・

さまざまなダイエット法が提唱され、流行り廃りを繰り返し、また新たなダイエット法が生まれています。

なぜこのようなことが起こるのでしょうか?

それはズバリ儲かるからです。

ビジネス用語でLTV(生涯顧客価値)というものがあります。

簡単に言えば、そのお客さんが生涯通じてどれくらいのお金を落としてくれるかということです。

ダイエットビジネスは、このLTVの観点から見て、とても優れたマーケットなのです。

なぜなら、ほとんどの人がダイエットして、リバウンドして、またダイエットして・・・

このようなことを繰り返しているからです。

もし一度のダイエットでみんな皆が痩せて、かつその体型を維持することができたら、ダイエットビジネスは著しく衰退していくはずです。

しかしそうならないのは、ほとんどの人が「リピート」するからです。

極論、ダイエットは摂取カロリーを減らして、消費カロリーを増やす方法であれば痩せることができます。

その意味であらゆるダイエット法が考えられるでしょう。

一度やって上手くいかなかったら、他の方法を試してみればいい。

このようにしてダイエットビジネスは、お客さんを取り込んでいっているのです。

☆ダイエットの「成功」を定義できていますか?

ダイエットビジネスが盛んな理由の一因には、ダイエットの「成功」を十分に定義できていないということも挙げられるでしょう。

その最たるものが、ダイエットの「成功」=体重を落とすこと、というものです。

体重を構成するものは、筋肉、脂肪、水分、骨、・・・たくさんあります。

つまり体重が落ちたことが、筋肉が落ちたのか、脂肪が落ちたのか、はたまた水分が落ちたのか、何が落ちているかを判断できないのです。

現にダイエットに取り組み始めて最初に体重が落ちる原因は、多くが水分の減少です。

以前水の話のところで、成人女性であれば身体の約55%が水分だということをお話しました。

身体の半分以上が水分ならば、水分が減少すれば体重が落ちることくらい想像にたやすいですよね。

また、この体重を落とすことを成功だとしている人に、一日中寝たままサプリメントで栄養補給してください、と提案したらどうするでしょうか?

激しい運動をする必要はなく、寝たまま過ごすと1日で約0.5%の筋肉が萎縮する(小さくなる)とも言われており、基礎代謝を超えるカロリーを摂取しなければ、きっと体重は落ちるでしょう。

でも、ほとんどの人がやりたいとは思わないのではないでしょうか?

極端な例を挙げましたが、「体重を落とすこと」という成功の定義をしていたとしても、その裏に本当の目的が別にあるということです。

アップル創業者のスティーブ・ジョブスは、あまりマーケティングを重視していなかったと言われています。

それは、「顧客は自分がほしいものを本当はわかっていない」からということでした。

また、フォード・モーター創業者のヘンリー・フォードは、「もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らはもっと速い馬がほしいと答えていただろう」という言葉を残しています。

これらの言葉からわかるのは、人は自分が思っている以上に自分のことを理解していないということです。

あなたは、なぜダイエットをするのですか?

それは痩せたい、綺麗になりたい、という願望の先に他の何かがあるはずなのです。

その何かがわからなければ、どのようなダイエット法を行うのがいいかはわからないはずなのです。

まずは自分の本当の目的に向き合うことからはじめましょう!

健康関連本の不都合な真実

最近、「あなたが知っている○○は間違っていた」「実は○○だった」のような健康関連本が多いなって思いませんか?

なぜ、このようなものが多いかと言えば、それはセンセーショナルなことを書いた方が目を惹き、手に取る人が増えるからです。

もちろん、これらの情報がすべて正確なのであれば問題ありません。

しかし、研究や実験の結果を極端に誇張しているもの、自身が主張したいことに都合の良い解釈をしているものが少なくないのです。

この背景には、情報ビジネスに関わるビジネスモデルの変遷が一因に挙げられるものと思われます。

紙の本が売れないと言われて久しいですが、近年なかなか本の売上(印税収入)だけでやっていくのが難しくなっています。

また、どんなに価値ある情報であったとしても、本というハコモノに入れた途端に、その価値は数千円程度に留まってしまいます。

情報そのものの価値ではなく、ハコモノの価値になってしまうということです。

それでは、なぜ本を出版するのでしょうか?

ここには2つの理由が挙げられると考えられます。

1つ目は、権威性を獲得することができるためです。

一昔前より出版のハードルが下がり、そこまでの専門性がなくても本を出版できるようになりました。

それでもやはり本を出版しているという事実は、一般的にはその道の専門家である、という認識のされ方をします。

権威性を持てば、主張する内容あるいは著者自身に対して、人々は信頼を寄せるようになるのです。

2つ目は、本から離れて商品やサービスを売るためです。

権威性を持ち、人々からの信頼を集めれば、本の内容を実践してみたい、もっと詳しく知りたいという欲求を想起させることができます。

そこで、「本で紹介した成分をすべて含んだ健康食品をつくりました。お申し込みは、https://○○.comへ」「本で紹介できなかった内容を無料レポート(PDF)にまとめました。ご希望の方は、https://○○.comでダウンロードできます」といったように、本から離れた場所へ誘導するのです。

つまり、本自体が健康食品を売るためのセールスレター(広告文)になっていたり、本の内容に興味を持った人のリストを獲得して継続的に商品やサービスの案内を送ってそちらで利益を上げようとしたりしているのです。

このような位置づけの本であれば、本当に売りたい商品やサービスに有利な情報のみを紹介するのも当然なのではないでしょうか?

ぜひ、健康関連の本を手にしたときは、本当に売りたい商品やサービスが別にあるのではないかというクリティカルな姿勢を持ちましょう。

健康・ダイエットに本当に必要なのは「継続」「習慣化」

ダイエットのパーソナルトレーニングジムとして有名なRIZAPは、ダイエット市場を「三日坊主市場」と称して、事業を展開しました。

ダイエットそのものではなく、「継続」「習慣化」することをビジネスとして提供したのです。

今では、三日坊主市場の英会話にも参入していますよね。

人は、「すぐに」「簡単に」「楽して」結果が出るもの(より正確にはそのように謳われているもの)に飛びついてしまう習性があります。

残念なことに、長時間かけて変化をもたらすような方法を教えるビジネスはほとんどありません。

仮にあったとしても、なくなってしまうのです。

すぐに結果が得られないものを求めていない、ゆえに誰も買わないからです。

基本的なこと、根本的な問題解決を提供するビジネスは上手くいかないことが多いのです。

それは、人は理論ではなく感情で意思決定を行うからです。

しかし、人にはホメオスタシス(恒常性維持機能)が備わっていて、急激に変化すれば、急激に元に戻す力が働き、元の状態に戻ろうとします。

ダイエットで言えば、リバウンドのことですよね。

また、記憶のメカニズムでも一夜漬けのように短期的に記憶したものは定着しづらいことが知られていますよね。

結局のところ、人間の身体に関することは、長期的な視点で取り組んでいくこと、少しずつ少しずつ変化していくのが良いということができるでしょう。

だから、いかなる健康法、ダイエット法であっても、次の問いかけをしてもらいたいのです。

「その方法を一生続けていく自信はありますか?」

もしこの問いに「No」という答えならば、必ずどこかで元に戻ってしまうでしょう。

習慣化できそうもない方法は、あなたにとってストレスフルな方法でもあります。

食べたいものを我慢する、苦しい運動をする、高い出費を伴う…このような生活が、あなたの人生を豊かにしてくれるでしょうか?

ときには我慢も必要ですが、ずっと我慢しなければならない人生なんて楽しくないですよね。

身体に悪いものを食べてしまったなと思ったら、すぐに排泄できるように腸内環境を整える、次の日は身体にいいものを食べるといったように調整すれば良いのです。

食べたいものがある、そしたらいつより量を少なくしてみる、あるいは同じような栄養素や別の高いカロリーのものを控える。

このようにある程度許容して、別のところで調整する方法なら続けられると思いませんか?

「○○してはいけない」「○○しなければならない」ではなく、「○○したいから、別の●●で調整する」という思考に変えてみましょう。

健康情報に正しく向き合ってあなたの人生を生きよう!

いかがでしたでしょうか?

健康に関する情報の裏には、ビジネス的な観点が入り込んでいて、それにより正しい判断をすることが難しくなっています。

残念ながら、完全無欠の健康法、ダイエット法は存在しません。

ものごとのほとんどには、プラスの面、マイナスの面が存在する、ということを覚えておきましょう。

短期的に結果が出るモノに飛びつきたくなる気持ちはわかりますが、それを長期的に続けていくためにはどうしたら良いか、という心構えは持つようにしましょう。

「心が変われば行動が変わる 行動が変われば習慣が変わる 習慣が変われば人格が変わる 人格が変われば運命が変わる」

(ウィリアム・ジェームズ)

健康情報に正しく向き合って、情報に振り回されない楽しい人生を送りましょう!

最後までお読みいただきありがとうございました。